どこここブログ

10年以上続くナナブルクの日記

回想の入り方

忍屋の台本を延々と書いてるナナブルクです。

さて、今日は回想について。

忍屋はもともと本編より過去の話に重きを置いて

作ってしまったので、シナリオを作っていく過程で

何度も『この過去部分、どうやって説明するんだろうね』と

兄と言いながら考えてた。

実際、今になってどうやって入れたものか悩んでる。

うまい脚本家は回想を嫌うとか、そもそも使わないとか

回想の種類にはサンドイッチ法や扇状回想法があるだなんだって

そんな教科書じみた内容を連ねる記事は沢山ヒットするけど

どうやって解決するのか、うまい回想の入れ方はなんなのかなど

具体例が一切でてこないところに、回想業界の闇を感じた。

てなわけで考えてみる。

そもそも回想の入れ方はプラットフォームによってだいぶ違うので

今回は比較的似ているゲームとアニメに限って考えることにする。

過去の情報をPLに与えるという意味では目的が一緒なので

ここでは回想とフラッシュバックを一緒くたにして考えている。

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1.ゲーム開始時に入れるパターン

ゲーム以外の媒体でもよく利用される手法。

定番だし、後半に同じシーンをもってくれば

ああ冒頭の!ってなるので使わない手はない。

2.夢の中で見せるパターン

これも定番で使い勝手がよい。

DQ4は、他人の夢が他者に伝播するという

特殊パターンもあったし汎用性は高そう。

3.気絶させてから見せるパターン

これも定番。2の入り方の一種と言ってもいい。

誰かに終われて崖から落ちて気絶してる間に~とか

シナリオの随所に散りばめられる利点があるが

使いすぎるとお前何回気絶してんのってなるので注意。

4.視覚情報から思い出すパターン

過去に印象深いものを見て思い出すフラッシュバック。

バーローの京都映画のように、まりをついてる少女を見て思い出す。

SAOのシノンのように、銃を見て思い出す。

かつて自分が囚われていた施設に戻ってきたことを思い出すなどなど。

ものであったりシチュエーションであったり景色であったり様々。

視覚情報はとても種類が多いのでひとくくりにするのも難しいが

かなり用途の多いパターンだと思う。

5.台詞を聞いて思い出すパターン

過去に印象深かった台詞と同じ台詞を誰かに言われて

ハッと回想するやつ。フラッシュバックに近い。

辛いことを言われて傷ついた台詞でもいいし

落ち込んでいるところを励まされた台詞でもいいし

愛の告白であってもいい。

6.匂いや味で思い出すパターン

匂いは思い出の要素が強いとか何かで読んだことがあるけど

食べ物の匂いで過去の暖かい過程を思い出すとかそんなの。

個人的には季節ごとに感じる匂いがあるので

ゲームのキャラにその感性を持たせてもいい気がする。

匂いにつられて行った先で食事を食べて思い出すとか

母の味がするからやっと母を見つけたかと思えば

実は母の味を継いだ娘だったとかそんなシナリオ展開もできそう。

7.身体で感じて思い出すパターン

過去と同じ技を食らって思い出すとか

それがライバルからの攻撃だったらそれで思い出すかもしれない。

過去におんぶされたことがあったとして、プレイ中気絶した主人公を

仲間がおんぶし、過去おんぶされたことを同じ条件下で思い出して

目覚めるというパターンも作れる(忍屋でもやってます)

2の気絶からのコンボである。

8.章仕立ての場合

最近気づいたんだけど、ゲームが章仕立ての場合は

ゲーム開始時に挟むのと同じような感覚で入れることもできる。

回想は本来、ゲーム速度を止めてしまうデメリットがあるが

章単位かつ冒頭に持ってくると、そこまで気にならないのでまだマシ。

章ごとに同じキャラの回想を順を追って入れていくという意図した

手法でも使えそう。

9.ゲームならではの回想の見せ方

ここまではわりとゲーム以外でも使う方法だけど

せっかくなのでゲームならではの方法もひとつ。

ゲームが他のプラットフォームと違うとすれば

それは自分の手が加わらないとそもそも進まないということだろう。

なので、PLに操作させてしまえばいい。

上記の方法で回想させたあとに、過去の自分を操り歴史を追っていく。

PLは今までの本編とも違う感覚にワクワクしながら操作できるため

別にストーリーが止まっていると感じることなく進めてくれるだろう。

おまけに操作させてる以上尺を気にしなくていいので都合のいいように

ワープさせながらひと通り面倒な過去を全部見せることもできる。

ゲームならではの超万能な手法である(忍屋でもやってます)

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ここまで書いてて思ったけど、記憶を呼び覚ますきっかけは

五感を使うのだと気づいた。なるほど。

あとこれらの組み合わせ次第であれこれ演出できるのかもと思った。

めんどいから考えてないけど。

まぁ、DQ5のように子供時代から描いてそのまま時系列を

追っていけるのが可能ならそれに越したことはないのかもしれないけど。

何か他にいい方法があれば教えて下さい。