あちこちで絶賛されているので『我々は宇宙人』を見てきました。
あまりに各所で称賛の嵐(に感じた)ので、相当うがった気持ちで見に行っていたと思うんですが……以下感想。
序盤から中盤くらいまでは「この作品は何が描きたいんだ?」というのがずっとつきまとっていました。
日本の多くの子どもたちが経験してきたであろうことを、相当解像度高めで描きまくっている。たしかにすごい。何がすごいって、普通はそんな過去のことを忘れているから。
よくもまあ、こんな解像度高めのシーンをこういくつも用意できたなと。
それと同時に思ったのが「どんだけ日本の子どもたち似たような経験してんだよ」っていう笑
考えてみれば「なぜか」日本中で目撃されてるものってあるじゃないですか。
クラスのみんなが静かにならないから怒って出ていく先生とか、誰が考えたかわからないのに日本全国で目撃される謎の遊びとか。
そういうものが全国に蔓延しているということは、無限大に描かれがちな子どもたちの発想や行動、感受性って、実はかなり収束するものなんじゃないかと思いましたね。
だって、これほどまでに見た人の感想が「懐かしい」として飛び交うんだもの。
それと同時に驚いたのが、この作品が海外でもいろいろと入選しているらしいこと。
「え? あの日本人の子ども時代の感覚って海外でも同じなの?」っていう。
もしかしたらそれは勘違いで、別にそこを評価したわけではなく、ただの人間模様を評価しただけなのかもしれませんが。
---
中盤、もう一人の主人公視点に移ってからは「お? そういうパターンか?」となって、しばらく見ていたら今度は「どういうパターンだ?」となって……。
結局、何が言いたい作品だったんだろうなあ。
解像度高い子ども時代をいっぱい集めたのはわかった。
わかったが、それ以外で言いたい部分は何なんだ?
友情ではないと思うんですが、あれを友情の話だという感想の人もいるので、たぶんこれは見る人によって、過去の自分と照らし合わせた結果、自分がどの配役の立場だったかによって、見え方が全然変わりそうだなと。
そういう意味では「多くの人に刺さるが、その刺さった箇所が全員違う」という仕掛けの作品なのかもしれない……。
(あ、この刺さるっていうのはポジティブな意味ではなくて、もっとネガティブなほうの刺さるです)
もし「この映画を見て、あるあると感じた箇所にチェックを付けてください。また、自分のときはどうだったかの具体例を書いてください」という問診票があったら、いろんなエピソードがボロボロ出てくるんだろうなあって。
---
最近、うちの近所で夕方になると、小学生の男の子二人が登下校中に別れるらしいんですが、しきりに「バイバーイ!」って言いながら、少し離れてはまた「バイバーイ!」とお互いに言うんですよ。
最初は「あ~、ああいうときあったよなあ」とノスタルジックに浸っていたんですが、毎日言うもんだから「うるせえな」に感想が変わっていたんです笑
で、今回の映画を見て、彼らのことを思い出しましたよね。
こんなにも別れを惜しんでいる彼らは、今後どんな大人になっていくんだろうなって。
今書いていて思ったんですが、序盤からずっと「この作品は何が言いたいんだ?」と思っていたのは、私が映画をいち観客として見ながらも、同時に作り手目線でも見ていたからかも。
冒頭でも言ったように、あまりにも各所で絶賛されているから。
これはきっと何かすごい仕掛けがあるに違いない、この大量の「あるある」を使って最終的に何か大きなテーマを描くに違いない、みたいな目線で見ていた気がするんですよね。
だから中盤以降も「お? そういうパターンか?」となったり「結局どういうパターンなんだ?」となったりしていた。
でも、もし本当にただの一観客として見ていたら、たぶんそんなこと考えずに、ただノスタルジックに浸って、過去をグサグサ刺されて終わっていたんだと思います。
今になって思うと、この作品って「懐かしい作品」というより「忘れていたものを無理やり思い出させる作品」なんじゃないですかね。
しかも「思い出すのは楽しいことだけじゃない」っていうのが恐ろしい。
人によっては、後悔かもしれないし、当時は言葉にできなかった感情かもしれない。
私自身、今回のブログにはわざわざ書いていませんが、映画を見ながら思い出したエピソードが山ほどあります。
たぶん、人は過去のしこりの数だけグサグサえぐられるんでしょう。
それを「良い」と言っていいのかは正直わかりません。
でも少なくとも、ここまでわかりやすく観客それぞれの過去を掘り返してくる作品は見たことがない。
もしこの作品が絶賛されている理由があるとしたら、そのあたりなのかもしれません。
あと、もう一つ気になったのが、この映画を女性がどう見ているのかということ。
主人公は男子二人なので、男子だった私には思い出がわんさか出てきたわけです。
でも、女子はどうなんだろう。
子どものころの私たちからすると、女子って昔から大人びていたんですよね。
実際、この映画でもそんなふうに描かれていた気がします。
本当に大人びていたのか。
少し引いた場所から男子たちを見ていたのか。
本当は一緒にバカをやりたかったけど、なんとなく引いてしまっていたのか。
そこは女子にしかわからない側面があると思うんです。
監督だって両方を経験できるわけじゃない以上、どうしたって男子寄りの映画になりそうなものなんですが……。
不思議だったのは、劇場を見渡すと女性が結構多かったこと。
正直、なんでこんな奇抜な映画を見に来たんだろうって聞いてみたくなるくらいには驚きました。
男子とはまた全然違う刺さり方をしているのか。
それとも、思った以上に共通する部分があるのか。
そのへんの感想はちょっと聞いてみたいですね。
---
「我々は宇宙人」っていうタイトルは、いろいろと内包していていいタイトルだなと思いました。
テーマ的なものは、何を主軸に描きたかったのか正直よくわからなかったけど、アニメである意味はしっかりあったように感じます。
実写じゃあそこまでの迫力は出ないだろうし、小綺麗なキャラデザでもあそこまでの濃さは生まれないだろうし。
ちゃんとアニメーション作品である意味と、あのキャラデザである意味があった作品だったかなと。
そんなこんなで、久々にひとりで見た映画でした。
世間があまりに賑わっているから急遽見に行ったんですが、雨続きじゃなければもうちょっと早く行ってたんですけどね。