どこここブログ

10年以上続くナナブルクの日記

ラストマイル

映画「ラストマイル」を見てきました。

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アンナチュラル、MIU404で知られる野木先生の劇場版作品です。
以下感想。

紛れもなく野木先生の脚本だなあっていう作品でした。

・・・が、アンナチュラル、MIU404と比べるとなにか違和感がありました。この違和感なんだろうなあって考えたら、シンプルに「エンタメ映画」として見たときに、わかりやすい面白さではなかったんですよね。

アンナチュラルやMIU404のように、主人公が主人公してて、それと退治する明確な悪がいて、うおおお!がんばえー!ってなる映画ではなかった。

二重三重、それ以上の伏線が張り巡らされた素晴らしい脚本なのは間違いないんですが、映画の上澄みだけをなぞったときに「うおおお!!おもしれえ!」とはなりづらい。

前述したドラマたちは、長いスパンで描かれるがゆえに、1話あたりではエンタメとしてのわかりやすい面白さを描きつつ、全体としてみたときにそれらの伏線などを回収できる作りになっていましたが、2時間という映画の中でそれらを全部詰め込むのはさすがの野木先生でも難しかったのかなと思います。というより、完全新規IPであればそれも余裕で可能だったのかもしれませんが、アンナチュラル、MIU404と絡めてしまったがゆえに薄まってしまったのかなって。

映画館へ足を運ぶ引きとしてはいいけど、過去作の合計21話分の感情をもったままユーザーは見に行くわけで、どうしてもラストマイルのキャラたちへの愛着の向け方が薄まってしまいます。こりゃあ・・・黄金のレガシーとそっくりだあ・・・ってなりましたよね。これまでのヒカセンたちへの愛着をもったまま、同じレベルで新たに登場したラマチを同じように愛するのは難しいんですよ。

そんなわけで、脚本としては本当に素晴らしいものだったし、野木先生らしい社会風刺に直結したテーマもさすがだったんですが、願わくば、まどろっこしい考察なんてしなくても、純粋に「うおおお!」って盛り上がれる内容になっていれば、より嬉しかったなあと思いました。

次は完全新規の世界観として、野木先生の劇場版を見てみたいですね。